2023年04月01日

公認会計士のアドバイザリー業務とは?仕事内容、身に付く知識やメリットについて

公認会計士といえば、弁護士・不動産鑑定士と並ぶ、文系の日本三大国家資格のひとつとして知られます。公認会計士試験は、経理・財務系の最難関ですが、一方で、公認会計士のキャリアパスとして財務に関する「アドバイザリー業務」が注目を集めています。
果たして、どのような仕事なのでしょうか。またアドバイザリー業務を行うやりがいや収入などについてもご紹介します。

公認会計士のアドバイザリー業務とは?

公認会計士の「アドバイザリー業務」とは、企業の取締役や監査役といった経営幹部に対して、企業の持続的成長や経営基盤の強化などに必要なアドバイスを送る、一種の経営コンサルティング業務を指します。

同じ経営コンサルティングでも、大企業のCOO(最高執行責任者)に向けた、企業の収益性に直接繋がる「攻め」のコンサルティングとは異なります。公認会計士のアドバイザリー業務は、「リスクコンサルティング」とも呼ばれる、守りのコンサルティングとされます。

つまり、公認会計士のアドバイザリー業務とは、企業活動の中で陥りがちなリスクを回避し、収益を上げるにあたって支障をきたす可能性やブレーキになりそうな要素をなるべく避け、収益性を改善させようとする施策に取り組むことを指します。

企業活動は、様々なリスクにさらされています。特定の事業に積極的に投資して、拡大を目指すこと自体にも「戦略リスク」「事業リスク」が伴います。その事業が顧客や取引先からの支持をうまく得られないと、投資を回収できずに破綻の危機に陥るおそれがあるからです。
また、海外進出にあたっては、先方の国の文化や慣習、法規制などを理解できていないせいで失敗してしまう「カントリーリスク」もあります。
現代の企業活動で、インターネットの利用は欠かせませんが、ハッカーの遠隔操作によってデータが書き換えられたり、あるいは盗み取られたり、社内の映像や音声が密かに監視されたりする「サイバーセキュリティリスク」もありうるのです。顧客の個人情報がハッキングされ、流出したなら、社会的信頼が一気に失墜し、企業にとっては大きな打撃となります。

そこで、様々な企業リスクの存在と切迫性をあらかじめ見極めて、企業に伝えて、リスクを事前に回避したり、あるいは事後的に解消したりする策を提案するのが、公認会計士のアドバイザリー業務です。

アドバイザリーは、公認会計士として企業の資金繰りについてもアドバイスを行うことがあります。必要に応じて金融機関を紹介し、融資実行に向けて様々なサポートを実施します。

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アドバイザリー業務のやりがい

公認会計士にとって花形の職場とされているのが、監査法人です。企業の決算に伴って作成される貸借対照表や損益計算書の内容に間違いはないか、不正経理はないかをチェックする業務です。
監査法人で公認会計士が担当する業務には高い専門性が必要とされており、たとえ出産や育児といったプライベートな理由でいったん職場を離れても復帰できるケースもあります。そのため、公認会計士資格の強みを最大限に活かせる仕事だといえます。さらに、収入も高水準で安定しています。
一方で、監査業務は数字とひたすら向き合い、単純作業を頻繁に繰り返す、精神的・肉体的に追い込まれやすい職種ともいわれます。

その点、アドバイザリー業務を行う公認会計士は、会社の役員と向き合うなど人と関わりながら仕事をすることが多く、クライアント企業からの喜びを実感しやすい業務です。そのため、監査業務とはまた違う魅力があります。会社の重役を相手にしても臆することなく接することができ、コミュニケーション能力に自信がある方は、とてもやりがいを感じられるはずです。

公認会計士の中でも、数字の操作よりも知識の蓄積や整理が得意な人物のほうが、アドバイザリー業務と相性が良いかもしれません。そのため、ご自身の適性を考えた上で、監査法人からアドバイザリーに転身する公認会計士も増えてきています。

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アドバイザリー業務を行う公認会計士の年収

公認会計士は、監査法人に勤めた後にアドバイザリー業務に転身することが多くなっています。よって、年収に関しては監査法人に勤めていた時と同等か、さらに上回るとされています。

監査法人に勤務すると、1年目でも年収600~700万円ほどで、キャリアを積めば1,000万円を超えることも多いです。ただし、この高収入は残業や休日出勤の多さから、時間外労働として賃金がプラスされていることも一つの要素となっています。

アドバイザリー勤務も、監査法人勤務に負けず劣らずの忙しさですので、結果的に高収入となるでしょう。ただし、いくら年収が高いからといって、働き過ぎて心身に不調をきたすようなことがあっては何にもなりません。自身の仕事ぶりを多くの経営者に期待されることは公認会計士の喜びかもしれませんが、体調に気をつけながら業務に励んでいただきたいです。

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まとめ

企業のお金の動きを司る公認会計士にとって、監査法人は安定した高収入を得られる人気の職場です。しかし、数字とばかり向き合うので、神経を擦り減らしたり、黙々と数字に向き合ったりする場面も多いことから、自分の仕事の成果が見え辛いと感じる方もいらっしゃるようです。
その点、アドバイザリー業務は、経営者と直接向き合い、助言が功を奏せば、直接喜びや感謝の意を伝えられる魅力があります。
同じ公認会計士資格を持つ人でも、価値観によって仕事内容の向き不向きはそれぞれです。監査業務を経て、公認会計士としてさらなるキャリアアップを目指したい、人と関わる機会の多い仕事をしたいと考えるならば、ぜひともアドバイザリー業務へ転身・転職を考えてみてはいかがでしょうか。

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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?

公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。

公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?

外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。

公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?

公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。

公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?

公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。

公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?

公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。

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