≪公認会計士のダブルライセンス≫中小企業診断士の特徴と取得するメリット

公認会計士資格は、それ単体でも、職場でのキャリアアップ、転職、独立をする上で非常に有利な資格です。
しかし、最近では公認会計士資格に加えてほかの資格を取り、ダブルライセンスを武器にして、さらに活躍の場を広げる公認会計士が増えています。
この記事では、そんなダブルライセンスの一つとして、公認会計士と中小企業診断士資格を持つことの強みについて解説します。
1.公認会計士と中小企業診断士の特徴
最初に、公認会計士と中小企業診断士のそれぞれの特徴を見てみましょう。
公認会計士の特徴
公認会計士とは、上場企業や大企業が作成した財務諸表の内容を客観的な立場からチェックし、株主や投資家に正当性を示すための会計監査を行うことを主な役割としています。
上場企業・大企業は、財政状態や経営状態を外部に知らせるために、自ら作成した財務諸表を開示しなければなりません。
また、その際に公認会計士や監査法人の会計監査(財務諸表監査)を受けることが、金融商品取引法や会社法によって定められています。
株主や投資家、取引先企業、取引銀行などのステークホルダーは、会計監査を受けた開示資料を参考にすることで、安心して取引を行うことができるのです。
中小企業診断士の特徴
中小企業診断士とは、企業がコストを削減したり売上を伸ばしたりして利益をあげるための方法について、適切な提案を行うことを主な役割としています。
経営コンサルタントの国家資格として、目まぐるしく変わる企業内外の環境を俯瞰的・論理的にとらえ、的確な判断を下すことができる高度なビジネススキルを売りに、さまざまなフィールドで活躍することができます。
中小企業診断士の資格は、別名「日本版MBA」と呼ばれることもあります。
2.ダブルライセンスのメリット
公認会計士と中小企業診断士の資格を組み合わせると、問題解決能力がアップする、数字に強くなるといったメリットが生まれます。では、それぞれの内容について具体的に見ていきましょう。
1. 問題解決能力がアップする
公認会計士は、過去の財務データの数字を分析して問題を見つけることは得意としています。一方で、「その数字を使ってどのようにコスト削減をすればよいのか」「どのように売上を伸ばせばよいのか」といった経営課題の解決や改善は、公認会計士の不得手とするところです。
そのため、公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスがあれば、財務面と経営面の両方を見ることができるので、経営的な視点を持つことが可能になります。そのため、より一層高度なレベルで経営に関するアドバイスができるようになります。
公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスを持つ人には、経営者も安心して相談ができるようになるでしょう。
2. 数字に強くなる
中小企業診断士は、企業の経営資源である人・モノ・カネ・情報を横断的にとらえて分析し、経営改善に関する判断を下す能力を持っています。しかし、財務や会計面の細かい数字を読み取ったりチェックしたりすることはあまり得意ではなく、事業計画作成支援などをするときには、数字の根拠が弱くなることもあります。
一方、公認会計士は会計や財務のプロフェッショナルなので、公認会計士と中小企業診断士の資格を組み合わせることで、会計や財務といった数字の側面を強化することができます。したがって、経営支援や起業支援を行う際にも、明確な数字の根拠を持って説得力のあるアドバイスを行うことができるでしょう。
3.公認会計士×中小企業診断士の両方が活きる仕事とは
公認会計士と中小企業診断士の両方の資格を活かせる業務としては、まず中小企業や中堅企業のコンサルティング業務があげられます。この両方の資格で得た知識を使って、事業がうまくいっていなかったり、経営が傾きかけていたりするクライアントに対し、事業と財務の両面からアドバイスを行い、経営支援を行うことができるからです。
さらに、ベンチャー企業での経営幹部を目指す人にとっても、公認会計士と中小企業診断士の資格を持っておくと役に立つでしょう。ベンチャー企業では少ない人員で何でもこなさなければならないことも多くあります。両方の資格の知識があれば、事業の側面からも財務の側面からも企業経営を見ることができるので、さまざまな経験を積みながら早いタイミングで経営者に近いポジションを獲得することも夢ではありません。
4.公認会計士×中小企業診断士は転職や独立に有利?
公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得することは、転職や独立に有利に働くと考えられます。
なぜなら、監査業務が専門の公認会計士と、経営診断が専門の中小企業診断士のそれぞれ異なる強みを組み合わせることにより、スキルを強化することができるからです。
公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスが特に有利になるのは、会計事務所、コンサルティングファーム、ベンチャー企業への転職、および独立となるでしょう。
会計事務所への転職
会計事務所は、コンサルティング業務へ業務の枠を拡大する傾向が、近年強く見られます。
経営コンサルタントとしての資格である中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスは、転職に有利になるでしょう。
コンサルティングファームへの転職
会計・財務系コンサルティングファームへの転職は、公認会計士の転職先として一般的といえるものです。
とはいえ、転職市場で勝ち抜くためには、「スペシャリスト」といえる専門分野をもっているかどうかが大きなポイントとなります。
中小企業診断士の資格を取得することは、有利に働くと考えられます。
ベンチャー企業への転職
ベンチャー企業へ転職する場合にも、上記の通り、事業の面からも財務の面からも企業を見ることができる公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスは有利になります。
独立
コンサルタントとして独立する場合には、公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスは大きく有利になるでしょう。
知識の幅が広がることにより総合的なアドバイスが可能となり、またダブルライセンスの取得者は希少であるため競争相手が少なく、集客する上で優位に立つことができるからです。
5.公認会計士と中小企業診断士の試験、どちらが難しい?
公認会計士試験の合格率は、近年では10%前後となっています。
中小企業診断士の合格率は、4%前後です。
これだけ見ると、中小企業診断士の方が難易度は高いように見えますが、そんなことはありません。
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は3,500時間、それにたいして中小企業診断士では、1,000時間とされています。
公認会計士試験は、大学生など勉強する時間が豊富に取れる人が多く受験するのに対し、中小企業診断士は社会人が仕事の合間に受験することが多いです。
そのため合格率とは逆に、公認会計士試験のほうが難関であるといわれています。
中小企業診断士を公認会計士が受験する場合、「経済学・経済政策」と「財務・会計」の2科目が免除となります。
ただし、この2科目は、公認会計士として得意科目となるでしょう。科目免除せずに敢えて受験し、総得点を押し上げるために活用することも方法の1つです。
6.おわりに
会計や財務のプロである公認会計士と、経営改善のプロである中小企業診断士のダブルライセンスを取れば、公認会計士・中小企業診断士のどちらかの資格だけを持っているときよりも仕事の幅が広がって、転職をする際にも有利になるでしょう。
いずれの資格もれっきとした国家資格なので、合格するのは容易いことではありませんが、仕事の幅を広げるためにもダブルライセンスを目指したいものですね。


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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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