2024年07月25日

監査法人からの転職先は何がある?それぞれの特徴や転職先の選び方など

管理部門・士業の転職 管理部門・士業の転職

公認会計士として経験・実績を積もうと考えた場合、多くの人は監査法人でのファーストキャリアを選ぶことになります。
しかし、監査法人で数年間の経験を積んだ後に転職を考える場合、これまでのキャリアや自分の職務志向・希望によって、選ぶ転職先が変わってきます。もちろん、これまで働いてきた監査法人とは別の監査法人で働くという選択肢もあるでしょう。

この記事では、監査法人から転職を検討している公認会計士向けに、主な転職先の特徴・選び方などについて解説します。

監査法人で活躍した公認会計士の転職先は豊富

監査法人で実績を積んだ公認会計士には、その後どのようなチャンスが待っているのでしょうか。
以下、公認会計士の転職市場の動向に触れつつ、その高い需要について解説します。

転職市場における公認会計士の動向

公認会計士を取り巻く環境は様々な影響を受けて変動しており、クライアント企業も海外進出や業態の多様化などを背景にグローバル化が進んでいます。
それに伴い、監査法人や公認会計士の側でも変化に対応する動きが求められるようになりました。

特に、会計監査の厳格化が進んだことで、監査業務に要する工数が以前よりも多くなり、業務負荷・負担が増えたことを理由に監査法人を離れる公認会計士も少なくありません。
そのため、会計監査業務を行うことのできる公認会計士を必要とする監査法人では慢性的な人手不足が続いており、公認会計士の採用ニーズは高い状況です。

また、グローバル展開している企業や大手・上場企業においては、社内で専門性の高い人材を採用する動きも強まっており、公認会計士は企業からもニーズが高くなっています
実際に、日本公認会計士協会の組織内会計士ウェブサイトによると、 2014年12月末時点で1,292人だった組織内会計士の人口は、2023年12月には2,418人にまで増えています。

公認会計士に人気の転職先は「インハウス(組織内公認会計士)」

近年は、転職先に「インハウス」を選ぶ公認会計士が増えてきています。 2023年に「MS Agent」に登録のあった公認会計士が希望する転職先は以下の通りです。

監査法人・会計事務所・コンサルティングファームなどが含まれる「事務所系」の希望者が全体の21.8%に対し、「インハウス」が54.4%という結果でした。 インハウスへの転職を志す公認会計士が増えた大きな理由としては、次のようなものがあげられます。

  • ●監査法人に魅力を感じない層が増えてきた(業務の負担増監査報酬の減少など)
  • ●インハウスでの年収の維持または向上が可能となった(賃上げ未上場企業の資金調達の大型化など)

多くの企業・事務所等で需要が高い公認会計士ですが、インハウスを希望する公認会計士が増えたことにより、転職成功に必要な要素が新たに生まれています。
たとえば、企業で社員の一人として働くのに必要な「コミュニケーション能力」や、IPO準備などの場面で「経営者目線で事業を俯瞰する能力」などがあります。

性格や志向によっては、必ずしもインハウスが最適解とは限りません。
転職にあたって、将来のキャリア構築に悩んでいる場合は、経験豊富な転職エージェントなどの協力を得ることが大切です。

管理部門・士業特化の転職エージェント「MS Agent」では、業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたらしい転職をお手伝いします。
「MS Agentではどのようなサポートをしてくれるの?」と疑問に思われた方は、 「MS Agent」の転職サービス紹介をご確認ください。

監査法人から税理士法人・会計事務所に転職

公認会計士は、所定の条件を満たせば税理士登録が可能です。
そのため、監査以外の業務経験を積みたい、将来的に独立を目指しているといった公認会計士は、税理士法人・会計事務所を転職先に選ぶ場合もあります。

税理士法人・会計事務所では、個人・中小企業~大手企業まで幅広い企業をクライアントとして、税務顧問を中心としたサービスを提供することになります。
また、クライアントの求めに応じて、税務・財務コンサルティングM&A・組織再編支援等を行う場合もあります。

いずれのケースにおいても、監査法人に比べてクライアントとの距離が近いのが特徴です。
税理士法人・会計事務所では企業・経営者のパートナーとしてどのように事業を成長させていくかといった、膝をつき合わせたコミュニケーションが必要になるため、より深くクライアントに入り込んで支援したいという方であれば、やりがいを感じられるでしょう。

監査法人から税理士法人・会計事務所への転職成功事例

Yさん

Yさん(30代前半・女性)

中小監査法人
年収:300万円

矢印 矢印

個人会計事務所
年収:450万円

地方の監査法人で勤務されていたYさんは、税務領域へのキャリア展開、特に法人税務・資産税業務をバランスよく経験したいとの思いから、MS-Japanを利用して転職活動を開始されました。
監査法人で勤務する前は個人会計事務所での勤務経験もおありだったため、その経験を活かしつつ未経験の分野について指導を受けられるような事務所を探す方針を固め、見事希望を満たす事務所への転職に成功されています。

会計士に特化した転職支援を受ける

監査法人からコンサルティングファームに転職

監査法人からコンサルティングファームに転職することで、公認会計士としてのキャリアの幅を広げることができます。
一口にコンサルティングファームといっても複数の種類がありますが、公認会計士の場合はFASファームが人気の選択肢です。

コンサルティングファームで公認会計士が任される主な業務としては、財務DDやバリュエーション、事業再生アドバイザリー、フォレンジックなどがあげられます。
総じて難易度の高い仕事を任されるだけでなく、監査法人よりも激務になることが予想されます。

しかし、その分給与水準が高く設定されているファームが多いことから、年収アップ・やりがい・成長を優先する人にとっては魅力的な職場の一つといえるでしょう。

監査法人からコンサルティングファームへの転職成功事例

Aさん

Aさん(20代前半・男性)資格:公認会計士

大手監査法人
年収:650万円

矢印 矢印

会計コンサルティングファーム
年収:750万円

大手監査法人で勤務しており、将来は独立を検討されていたAさんは、横断的な業務経験を積めること・独立のチャンスがつかみやすいことなどを理由に、コンパクトな規模の会計コンサルティングファームへの転職を希望されていました。
MS-Japanをご利用いただいてからは、学生時代から監査法人で勤務して経験を積んでいることをアピールし、コンサル業界未経験ながら大幅な年収アップを実現されています。

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監査法人から一般企業に転職

一般企業に転職する場合、上場企業・ベンチャー企業(IPO準備企業)で任される業務内容が異なります。
上場企業で採用された公認会計士の多くは、経理・財務等の部門に配属されますが、経営企画や内部監査で勤務するケースも考えられます。

転職して間もない時期は、各部門のスタッフとして実際に手を動かしながら業務を行い、その後は課長・部長・役員といった役職を目指すイメージになります。
監査法人に比べるとワークライフバランスの取れた働き方ができる反面、職場によっては年収の伸びが劣るリスクがあります。

これに対してベンチャー企業で採用された場合、スタート段階でCFO候補として勤務することも十分考えられます。
特に、IPOを目指している企業では、上場基準での決算・開示ができるだけの経理体制構築・資金調達・監査法人対応・上場申請書類作成など幅広い業務に携わることが予想されます。

ベンチャー企業での仕事は、人的リソースが十分でない場合、経理以外の業務にも参画するケースも多いですが、企業・組織の構築にダイレクトに関わるという貴重な経験ができるため、チャレンジしがいのある職場といえるでしょう。

監査法人から上場企業への転職成功事例

Dさん

Dさん(30代半ば・男性)資格:公認会計士

監査法人
年収:700万円

矢印 矢印

上場企業
年収:650万円

監査法人で上場企業・IPO準備中企業の監査業務を担当され、多忙を極めていたDさんは、お子様が生まれたことをきっかけに、ワークライフバランスの整った事業会社への転職を決意されました。
これまでのご経験が評価され、様々な企業からのオファーがあったものの、当初の目標から逸れることなく平均残業時間の少ない老舗大手メーカーへの転職に成功されています。

監査法人からベンチャー企業への転職成功事例

Bさん

Bさん(30代前半・男性)資格:公認会計士

監査法人
年収:700万円

矢印 矢印

ベンチャー企業
年収:850万円+SO

監査法人で勤務する中、今後のキャリアを考え事業会社への転職を希望されていたBさんは、年収アップを第一優先事項とした上で、MS-Japanのサービスを利用して転職活動をスタートされました。
上場企業からIPO準備企業まで幅広く対応されていたことから、その経験を踏まえ「一定の裁量を持ちながら自由かつスピード感のある環境で働きたい」という希望を実現すべく転職活動を続け、最終的にはIPO準備中の企業にて「管理部長候補」としてのオファーをお受けになりました。

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監査法人から金融機関に転職

金融機関においても、監査法人勤務経験のある公認会計士を採用するケースが増えてきており、以下のような多くの金融機関で活躍が期待されています。

  • ・メガバンク
  • ・外資系銀行
  • ・証券会社
  • ・信託銀行
  • ・投資会社・ファンド
  • ・保険会社

一概にはいえませんが、金融機関の種類によって求められる経験・能力が異なる点に注意が必要です。

一般企業の経理に当たる、金融機関の主計部では、グローバルな会計基準に堪えうる体制の構築や、複雑な会計処理を要求される業務を公認会計士に任せたいと考えるケースが多いようです。

これに対して、投資銀行部門やファンドでは、M&Aやバリューアップといった専門性の高い業務に従事する可能性が高いでしょう。
監査法人での実務経験に加え、語学力やファイナンス知識、学歴や若さなど、アピールできるプラスアルファのポイントがあると転職に有利です。 採用されれば大規模な案件に携われるチャンスを得やすく、その後のキャリアプランにも非常に良い影響をもたらすはずです。

監査法人から金融機関への転職成功事例

Yさん

Yさん(30代半ば・女性)資格:公認会計士

大手監査法人
年収:650万円

矢印 矢印

金融/内部監査
年収:880万円

働き方には制限があるものの、フレックス・時間休・リモートワーク等を利用して最大限業務に臨みたいというお気持ちを保って転職活動を進めた結果、ママさんが多く在籍する“本当の意味で子育てに理解がある”企業への転職に成功されています。

\キャリアの可能性が広がる!/ 転職のプロにキャリア相談をする

監査法人から自分に合う転職先を見つけるには

監査法人から自分に合う転職先を見つけるには

自分に合った転職先を見つけるには、転職で実現したい目標を思い描くとともに、自分がキャリアを活かせる環境はどこか、後悔のないよう十分に検討することが大切です。
以下、監査法人から転職する際のポイントをご紹介します。

転職で叶えたいことを明確にする

転職する以上は、その転職によって自分がどのような未来を目指すのかを明確にしましょう。
特に、監査法人からの転職が人生初の転職であった場合、転職先で「監査法人って色々と恵まれてたなあ……」と感じる場面も少なくないです。

それでも転職を後悔しないためには、転職の目的がハッキリしていなければなりません。
万一、転職先が監査法人よりも厳しい環境で、自分にとって実りのない業務を担当しなければならなかった場合、再度転職を検討することになり時間を無駄にしてしまうおそれがあります。
転職する前に、自分の人生をどのように再構築していくのか、入念にイメージを膨らませましょう。

自身のキャリアの棚卸しをする

転職先で実現したいことが固まったら、次はキャリアの棚卸しを行います。
できるだけ客観的に能力を判断できる実績をあげていき、箇条書きなどでまとめましょう。

会計・監査関連のスキルだけでなく、例えばPCスキルや語学など、一見公認会計士の実務には関係しないと思われるスキルについても記載していきます。
まとめた内容をもとに、どのようなキャリアパスが自分にとって最も望ましいのか検討します。

自分の理想だけでは、希望通りの転職を実現することはできません。ミスマッチを防ぐためにも、これまでの自分が培ってきたスキルを活かせる職場を選ぶことが大切です。

希望条件の優先順位を決める

自分が転職する理由の明確化、キャリアの棚卸しが終わったら、次は自分の希望する条件について優先順位を決めます。
多くの場合、転職で自分が求めるすべての条件を満たす職場が見つかることは珍しいため、自分の希望する働き方・キャリアと一致する転職先を選ぶ際には、優先順位が明確になっていた方がスムーズです。

優先順位を決める際は、自分の考えている転職理由や持っているスキルだけでなく、年齢や家庭の状況なども勘案することが重要です。
その上で、職種・業界を問わず、できるだけ複数の選択肢を想定しておくとよいでしょう。

希望条件に合うかどうか詳細まで情報を集める

優先順位を決めたら、様々な求人情報をチェックして、希望条件に合うかどうか詳しい情報を収集します。
「これは」と思った求人に関しては、企業情報や口コミなど、自力で調べられる範囲で徹底的にリサーチしましょう。

しかし、個人の力で収集できる情報には限界があるため、どの求人に応募すべきか迷ってしまうケースも多いはずです。
転職活動において少しでも不安を感じたら、転職エージェントなどプロの力を借りるのが近道です。

MS Agentは、多様なクライアントの「非公開求人」を取り扱っており、監査法人の実務経験を活かせる専門性の高い求人をご紹介できます。また、公認会計士の転職支援の経験が豊富なキャリアアドバイザーによるサポートもご用意しております。
自力での情報収集に限界を感じた方は、MS Agentへお気軽にご登録ください。

「どのような流れで転職活動を進めるの?」と疑問に思われた方は、 「MS Agent」の転職サービスの流れをご確認ください。

まとめ

監査法人での勤務経験がある公認会計士を求めている職場は数多く存在しており、培ったスキルや希望する働き方・キャリアによって、多様な転職先が想定されます。
近年人気のある転職先としては、ワークライフバランスの改善等のメリットがあるインハウスがあげられ、収入面でも魅力を感じられる企業が増えてきています。

収入増・働きがいなどを求める方には、コンサルティングファーム金融機関といった選択肢もあります。
いずれの職場を選ぶにせよ、メリット・デメリットやスキル等との相性が存在するため、自分の希望・能力と照らし合わせて慎重に選びましょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

窪塚 勝則

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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