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    新卒採用とは違う難しさがある中途採用。中途採用の現場でトラブルが発生する場合もあります。トラブルを回避するためにも、人事担当者はトラブルの事例や防ぐための方法を知っておくことが肝心です。そこで今回は、中途採用でよくあるトラブルや対処方法をまとめてご紹介します。トラブル例を知っておくと、いざという時も冷静に対応できる可能性が高いです。トラブルを回避して円滑な中途採用を進めるためにも、こちらの記事を参考にしてみてください。

    1.選考中によくあるトラブル


    中途採用の選考段階でよくあるトラブルは主に3つあります。

    1-1.トラブル① 面接のドタキャン

    中途採用の選考で最もよくあるトラブルが面接のドタキャンです。ほとんどの企業が1回は経験したことがあると言われています。面接のドタキャンは、面接日当日になんの連絡もなく面接会場に現れないことです。ドタキャンが人事担当者を悩ます理由は「辞退理由がわからない」からです。理由がわかっていれば対策をすることができますが、ドタキャンの場合は対策を講じることができません。なるべくドタキャンが発生しないように、信頼できる転職エージェントを利用するなど、できる限りの工夫をする必要があります。

    1-2.トラブル② 求人情報の齟齬

    求職者は、求人票の情報を参考にして企業への応募や入社を決定します。しかし、求人票の情報が古く現在の実情と合っていなかったり、曖昧な情報が記載されていることにより誤解が生じたまま選考が進んでしまうこともあります。その場合、内定の段階などになって大きな食い違いが発覚したり、例え入社したとしても「こんな会社だとは思わなかった」と、直ぐに辞めるリスクが高くなってしまいます。人事担当者は、常に求人を最新の状態に更新するとともに、転職希望者が求人情報を誤解していないか見極めながら選考を進める必要があるといえるでしょう。

    1-3.トラブル③ 内定取り消し

    実は企業が内定を出し応募者が承諾した段階で雇用契約が成立しています。その為、企業からの内定取り消しは事実上の解雇です。法律上、企業は自由に解雇することはできません。解雇するには正当な理由が必要とされています。内定の取り消しを行う時は、専門家と相談をしながら慎重に行うことが必要です。内定を取り消された側が不当と考えれば裁判沙汰になるケースも存在します。

    2.入社後によくあるトラブル


    中途採用者の入社後によくあるトラブルは下記の通りです。

    2-1.トラブル④ 入社日に来ない

    中途採用でよくあるトラブルの一つが入社日に来ないケースです。故意なのか、はたまた体調不良など不測の事態が発生したのか、よく確認をして対応することが必要となります。故意の場合、連絡が取れないケースが多いです。入社を受け入れるために企業側はさまざまな準備を行っていますから、各所にフォローを入れることも必要となります。

    2-2.トラブル⑤ 経歴詐称だった

    一口に経歴詐称と言っても、軽微なものから重大なものまでさまざまなケースがあります。重大な経歴詐称の場合、解雇することも可能です。経歴詐称を完全に見抜くことは難しいですが、人事担当者は選考段階から経歴詐称はないかチェックすることが必要となります。特に、学歴・職歴などで経歴詐称があった場合、解雇する必要が生じることもありますので、提出書類の確認や面接時などのヒアリングなど、しっかり行いましょう。

    2-3.トラブル⑥ 給与条件の齟齬

    入社後の求人情報との齟齬が発覚すると、トラブルに発展する場合があります。特に給与条件で齟齬があると、トラブルになる可能性が高いので注意が必要です。中途採用者も生活がかかっていますので、双方とも誤解がないように選考段階から人事担当者は気を配りましょう。

    3.採用トラブルを回避するためには


    中途採用のトラブルには色々なケースがあります。完全に防ぐことが難しいものもありますが、人事担当者の工夫や対策によって回避できるものがあることも事実です。中途採用のトラブルを回避するためのコツは5つあります。

    3-1.スピーディーな選考を行う

    中途採用者は1社だけでなく複数の企業にアプローチしていることが多いです。特に優秀な中途採用者ほど早く内定が決まります。他社の内定を獲得すると、連絡が取れなくなることがあるので注意しましょう。スピーディーな選考を行うことで、連絡が取れないなどのトラブルを回避することが可能です。また、優秀な人材を確保できる可能性が高くなります。スピーディーな選考を行うために、選考のフローを定期的に見直して改善していくことが大切です。

    3-2.求人票は正確に記載する

    採用の基本として、求人票の情報は正確に記載しましょう。誤った情報を載せている企業は信頼されません。また内定者を獲得したとしても、トラブルに発展したり早期離職を招いて現場に負担をかけるリスクが高くなります。厚生労働省の調査によると、平成24年度の求人票の内容と実際の労働条件が異なるというハローワークへの申出は、全国で7,783件。トラブルを未然に防ぐためにも、正確な情報の記載を徹底することが大切です。

    3-3.安易に内定と伝えない

    企業が内定を出し内定者が承諾すれば労働契約が成立したとみなされます。スピーディーな選考は必要ですが、内定と伝える際は慎重に行いましょう。内定の方向性で話が進んでいても、社内の状況により最終的なジャッジが変わる可能性もあります。そのため、人事として求職者に早く内定と伝えたいという気持ちは分かりますが、労働条件なども含めて内定が確実に決定するまでは「内々定」という言葉を使うなど、内定と伝えないようにしましょう。

    3-4.労働条件を明確に説明する

    企業側と応募者側で労働条件の齟齬がある場合、トラブルに発展するリスクがあります。人事担当者は、誤解がないように労働条件の明確な説明をすることが大切です。選考の段階でもしっかりと説明をすることで、トラブルの回避につながります。

    3-5.内定後のフォローをしっかりする

    近年、必要性が高まっているのが内定後のフォローです。トラブルや早期離職を防ぎ、中途採用者が早く会社になじんで成果を発揮することが促すことができます。会社の生産性を高めるためにも役立ちますので、内定後のフォローにも気を配ることがおすすめです。

    4.採用トラブルに合った後に気を付けること


    なるべく対策を講じていても、採用トラブルに遭遇してしまうこともあります。もし採用トラブルに合った時に気をつけることを理解しておくと、いざという時にスムーズに対応することが可能です。 まず、求職者の事情を考慮することを忘れないようにしましょう。例えば面接に当日に来ないなどのトラブルの場合、面接日をうっかり忘れていたなど悪意のないケースもあります。トラブルに遭遇したら、決めつけで対応するのではなく、求職者側の事情をヒアリングし、必要な措置を講じましょう。

    基本的に、過激な対応をせず、お互い気持ちよく仕事をできるようにすることが肝心です。遺恨を残すと、双方にデメリットが生じる可能性があります。採用ではありませんが、2019年4月頃、某メーカーの社員が育休明けの転勤に関しての不服をSNSに投稿し、炎上する事例がありました。現代は誰もが気軽に発信できる社会であるからこそ、健全な対応がより求められています。

    トラブルになった場合に大切なことは話し合いです。冷静かつ慎重に話し合いを行い、お互いの納得する解決策を探しましょう。また、選考の段階からコミュニケーションをはかることで、万が一トラブルが発生した場合に事態が悪化することを防げる可能性が高くなります。トラブルをゼロにすることは難しいかもしれませんが、日頃から対策をしておくことで事態の悪化は可能な限り避けられます。なお相手側が話し合いに応じない、悪意があるなど悪質なケースは、弁護士などの専門家に相談するなど慎重に対応しましょう。

    5.まとめ


    中途採用時のトラブルは人事担当者の工夫によって回避できる場合もあります。この記事でよくある事例を紹介しましたが、その他にも過去にトラブルになったケースはないか、自社の記録をチェックしておくこともおすすめします。どれだけ注意していても応募者は選べませんので、トラブルを回避するためにも、信頼できる人材紹介会社を使ってトラブルを未然に防ぐことなどもおすすめです。人材紹介会社を使っている場合、トラブルが発生した時に人材紹介会社を介して対応することも可能となります。人事担当者は日頃から人材紹介会社の担当者ともコミュニケーションをはかり、中途採用現場の最新の動向などを把握しておくことも大切です。

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    【参照】
    厚生労働省「ハローワークでの求人票と実際の労働条件が異なる場合の対策を強化します」