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転職を希望している求職者は中途採用の求人情報を見比べ、そのうち一社だけに絞って転職活動を行っているとは限らず、複数の企業の選考を同時に受けている場合もあります。どれほどの選考期間を設けるのかはその企業によりますが、長すぎる選考期間は応募者が他社からの内定を承諾してしまうリスクを高めてしまいますし、短すぎるのであれば選考の精度を保つのが難しくなってしまいます。この記事では中途採用における選考期間について詳しく取り上げていきます。
中途採用の選考期間
選考プロセスはそれぞれの企業によって異なるため、中途採用における選考期間にも差が生じてしまいます。中途採用の場合、応募者が複数の企業の選考に並行して参加しているケースも少なくないので、選考期間が短いほうが良いとされていますが、あまりに短すぎると選考の精度に問題が生じるほか、応募者に“まともに選考もしていない、いい加減な会社なのではないか”という想いを抱かれて内定辞退へとつながってしまう可能性も否定できません。
企業規模による選考期間の違い
一般的に、一次面接から内定を出すまでにかかる平均日数は、「マイナビ 中途採用状況調査2020年版」によると平均12.3日となっており、過去最短となっています。この背景には慢性的な人材不足があり、求人を出しても応募者がそれほど多くない、ゆっくり選考していると他に企業にせっかくの応募者を奪われてしまいかねない、などといった考えが横たわっています。調査結果からは企業規模による違いも読み取れます。内定出しまでの期間は、従業員数が300人以上の企業の場合には16.2日、60~299人までの企業の場合には10.3日、60人未満の企業では8.8日となっており、企業規模が小さいほど内定出しまでの期間が短くなっています。業種とポジションによる選考期間の違い
一次面接から内定を出すまでの期間は業種によっても異なります。マイナビの調査では、金融・保険業界の場合には内定出しまでの平均日数は2週間~1ヶ月以内と答えた企業が45.3%となっており、製造・メーカーの場合にも38.9%となっています。この理由は業種柄、信用できる人物であるか、スキルがしっかりとマッチするかどうか、など見極めに時間を費やしているためです。しかし、業種の違い以上に平均日数に大きく差が出てしまいがちなのが、ポジション別に見た場合であり、役員クラスの採用であれば、3ヶ月~半年かかるケースもあります。重要な役割を担うポジションの中途採用を行う場合、そうでない職種に比べて余計に失敗が許されないので、応募者の資質の見極めにどうしても時間がかかってしまうためです。一般的な職種への中途採用であれば、中小企業の場合には10日前後を目安とするのがおすすめです。マイナビの調査結果から見られるよう、選考期間は短縮化しているため、応募者も同程度の期間を目安にしているだろうと考えられるからです。優秀な人材であるほど多くの内定がすぐに集まりやすくなりますので、まずは内定出しまでの期間を10日前後とすることを目標に採用プロセスを見直していきます。
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採用プロセスの効率化と選考スピード
採用プロセスのスタートはほとんどの場合、書類選考となりますが、内定出しまでの目標期間より逆算すると、書類選考にかけられる期間は一週間もありませんので、手元に届いた応募書類は迅速に選考にかけていく必要があります。書類選考を終えてからの期間もだいぶ限られてしまうので、面接は1~2回ほどしかできない計算になります。募集する職種、属する業界によって違いは出てくるものの、マイナビの調査結果によれば、中小企業が内定出しまでに行う面接回数の平均値は1.7回となっており、たった一度の面接で内定を出している企業が多くあることがわかります。優秀な人材の確保を争う他社との競争に勝つには面接は最大2回、トータルの選考期間は10日前後、の2点を前提とし、選考の精度がこれまでに比べて落ちてしまわないよう採用プロセスを見直し、工夫を加えていかなくてはなりません。中途採用の選考期間を短くすると選考中の辞退が減少する
選考期間の短縮化は、選考中の辞退の減少へとつながっていくため、企業側にもメリットがあります。転職を希望している応募者はそれぞれ転職希望時期があります。すぐに転職したいと考えている応募者の場合、早めに選考結果を知ることができれば、入社までスムーズになりやすくなります。少し先に転職を希望している応募者の場合にも、内定を早期に得られたならば、以降のスケジュールが組みやすくなり、結果としてスムーズな入社へとつながりやすくなります。
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また、応募者は必ずしも一社ずつ選考を受けているわけではなく、優秀な人材ほど多くの内定が集まりやすい点を考えても、選考期間を短くすることで、自社の結果を待たずして他社への入社を決められてしまうようなケースを避けられると考えられます。当然、逆の場合もあり得ます。自社が他社より先に内定を出すことで、なかなか選考結果を通知してこない他社に見切りをつけた応募者が自社への入社を決めるようなパターンです。
採用活動にはひとつひとつにコストがかかります。求人広告を出稿したり、応募書類を受け付けたり、面接会場を設けたりするだけでも必ず採用担当者が動いており、必要となる経費を支払っています。選考中の辞退は、これらの支払った経費がすべて無駄になってしまうことを意味しており、採用担当者のモチベーション低下も招いてしまいます。このため、中途採用の選考期間を短くすることは応募者の都合だけを考えるものではなく、自社のメリットにもつながります。
中途採用の選考期間を短くする工夫
選考期間を短くするには、これまでの選考プロセスを見直し、選考の精度を落とすことなく、より効率の良い選考プロセスへとブラッシュアップする必要があります。届いた応募書類を選考にかけるまでの時間を短くするよう試みたり、これまで2回実施していた面接を1回のみとし、2回目の面接を担当していた面接官も1回目の面接時に同席したり、といった工夫も考えられますが、もっとも効果を期待できるのがWebの積極的な活用です。
コロナ禍でテレワークの導入が進み、ZOOMをはじめとするWebツールを使いながらモニターを通じてやり取りする機会が多くなりましたが、応募者との面接も同様の方法で行うようにすれば、面接の日程調整の手間が省けるので選考期間の短縮化につながります。Web面接であれば、応募者の都合の良い時間に合わせて行うことができるので、スムーズに選考プロセスを進めていけるようになります。
業種によっては応募者の持っているスキルが自社の求めている水準にあるかどうか、入社テストを行う場合もありますが、Webを通じて入社テストを行っている事例もあります。例えば、プログラマをはじめとするエンジニア職の中途採用の場合、オンライン上で課題を提示し、制限時間内にプログラミングさせるコーディングテストを実施しています。Webコンテンツの幅はとても広く、選考プロセスにどのように役立てられるかはアイデア次第です。応募書類の提出、適性検査などをオンラインで行う方法も選考期間の短縮化につながります。
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まとめ
人材不足が続くなか、自社の求人に応募してきた人材をスムーズに入社へと結び付けられるかどうかは、これからの自社の人的リソースに大きく影響してきます。中小企業では選考期間を短縮させることが主流となっていますので、その流れに遅れないようにすることで、人材確保の競争にみすみす負けてしまうようなケースを避けやすくなります。しかし、2点に留意しなくてはなりません。一つ目は、選考の質を決して落とさないことであり、二つ目は、採用担当者に過度なストレスがかからないよう配慮することです。特に後者について、選考期間の短縮すると、採用担当者の負担が減るというものでなく、よりスケジュールを詰め込むことになるとの認識が欠かせません。採用担当者の負担を減らせる人材紹介サービスを取り入れるなど、採用手法を見直しすることもおすすめです。
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