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    選考の過程において、面接は採用の成功を左右する重要なものです。ただ、いざ面接官になると、「何を聞けばいいのだろう…」と悩むことも少なくありません。そこで今回は、中途採用の面接官として面接に臨む際、知りたいことをスムーズに聞き出せる質問の基本形をまとめました。一般的な質問から採用対象別の質問まで、状況に応じて使い分ける参考になれば幸いです。

    1.まずは基本を押さえよう|中途採用者向けの一般的な質問集


    始めに、中途採用時の面接における一般的な質問についてご紹介します。 緊張を解きほぐす目的の質問から、パーソナリティを深堀りするための質問まで、面接の進行に応じて使い分けるイメージで覚えておきましょう。

    1-1.採用面接冒頭で使える質問

    面接冒頭では、「アイスブレイク」と呼ばれる緊張を緩和する目的の会話が有効です。 面接と当たり障りのない質問を選び、話しやすい空気を作りましょう。

    【質問例】
    ・ご足労ありがとうございます。電車でいらしたのですか?
    ・(最寄り駅の)○○からは遠かったでしょう。当社まで何分かかりましたか?

    1-2.経歴確認のときに使える質問

    中途採用の場では、新卒採用よりもダイレクトに質問ができます。 過去の経歴を確認する場合は、自己紹介をお願いしたり、出身地などから話を広げていったりします。

    【質問例】
    ・履歴書を拝見しました。平成○○年○月の時期から、自己紹介をお願いできますか?
    ・3年前まで○○県にお住まいだったのですね。上京の理由をお聞かせいただけますか?

    1-3.人間性・価値観を知るための質問

    自社で末永く働いてくれる人材かどうかを知るためには、人間性・価値観を知る必要があります。 会社に結び付けて確認するなら、転職を決めた判断基準や考え方が分かる、「退職理由」と「志望動機」から紐解いていきましょう。

    【質問例】
    ・退職を決めた理由や、このような条件だったら現職(前職)でもよかったと思うことを教えてください。
    ・当社を選んだ理由について、現職(前職)では実現できなかった点も含めて教えてください。

    1-4.変わった質問

    一見面接とは関係のない話を急に振ることで、アクシデントに対する対応を見るという方法もあります。 質問に正しく答えられるかどうかよりも、あわてずに対処しようと取り組んでいるか、創造力や自己分析力があるかどうかを見極める目的で用いるケースが多いようです。

    【質問例】
    ・無人島に漂流したら、まず何をしますか?(なぜその行動をとるのか、自分ならそのシチュエーションで何を持っているかなどを想像する能力などをチェックする)
    ・あなたを動物(色・車)に例えると何ですか?(求職者の自己分析力を知るために行う)

    2.中途採用者は一律ではない!|採用対象別に用意しておきたい質問集


    続いて、採用する人材に応じた質問の種類についてご紹介します。 中途採用は新卒と違い、老若男女問わず質問できる内容だけでなく、求職者の性別・年齢・職種などに応じて臨機応変に質問内容を選ぶことができます。 その人のパーソナリティを理解し、採用予定の職種に合致する人材かどうかを判断するためにも、様々な視点から質問を向けてみましょう。

    2-1.若手の求職者向けの質問

    第二新卒クラスなど、比較的若手の求職者に向けて質問する場合は、自社で働くにあたり将来の展望をどう考えているのかチェックすることが大切です。 特に、前職で勤続年数が短いのに退職を検討している求職者には、将来のビジョンを確認しましょう。

    【質問例】
    ・当社で働くことについて、3年後(5年後)にどうなっていたいか、ビジョンをどのように描いていますか?
    ・自分のモチベーションが上がる時は、どんな時だと思いますか?また、当社で働きながらモチベーションを上げることはできそうですか?

    2-2.ベテランの求職者向けの質問

    社会人経験の長い求職者に対しては、職務経歴書における実務経験の中で、自社が求めるスキル・経験を持っているかどうかを確認します。 また、具体的な仕事に関するエピソードを確認することも大切です。

    【質問例】
    ・○○の業務について、経験はありますか?
    ・業務を進めるにあたって意識してきたこと・努力してきたことを、エピソードを交えて話してください。

    2-3.男性の求職者向けの質問

    現代において転職市場が活発化しているとはいえ、短期間で退職を数多く経験している男性の有用性は、多くの会社で疑問視されます。 自社で男性を採用する場合、1年以内に退職しているなど勤務期間が短い時期があれば、退職理由・人間関係に問題がある可能性もあるため、詳細を確認しておきましょう。

    【質問例】
    ・○○商事はおよそ半年で退職されていますが、何か特別な事情があったのですか?
    ・総じて在職期間が短く、お引越しもされているようですが、転職の事情をお教えいただけますか?

    2-4.女性の求職者向けの質問

    そもそも「女性の求職者への質問」という発想自体が、男女雇用機会均等法においては問題になるおそれがあります。 採用担当者として、例えば結婚・出産・交際に関するような質問は極力控えるべきです。 しかし、採用する側としては「長い間働いてくれるかどうか」をチェックしたいからこそ、そのような質問をしたいという思惑があります。 よって、それを率直に確認するよう心がけましょう。

    【質問例】
    ・当社では、長期にわたり働いてくれるスタッフを募集していますが、問題ありませんか?
    ・長期間働くにあたり、現段階で不安に感じていることはありますか?

    2-5.未経験・キャリアチェンジ希望の求職者向けの質問

    業界未経験での転職や、異業種・異職種への転職を希望する求職者に対しては、前職との共通点や違いについて、どのような認識でいるのかを質問しましょう。 採用担当者側から見て、一見共通点がないように思えても、論理的な回答を求職者から聞けるかどうかがポイントです。

    【質問例】
    ・この業界について、どのようなイメージを持って転職を考えたのですか?
    ・○○職と××職では一見共通点がないように感じられるのですが、今回なぜ異職種への転職を志したのですか?

    2-6.管理職の求職者向けの質問

    管理職を経験している求職者に対しては、過去に働いてきた組織の中で、どのような実績を挙げることができたのかについて確認しましょう。 会社目線・組織目線で、客観的に実績を伝えられるかどうかをチェックします。

    【質問例】
    ・○○に関する新制度導入において、もっともネックになった部分は何ですか?
    ・当社の○○部門は総員○○名・男性○名・女性○名ですが、マネジメントできると考えますか?

    2-7.士業の求職者向けの質問

    会計事務所・行政書士事務所・社内税理士など、いわゆる士業の業務に関する求職者に対しては、今後のキャリアとして自社をどのようにとらえているか確認しましょう。 税理士の科目合格者などは、税理士になった後で退職・独立する可能性もありますから、その点もポイントになります。

    【質問例】
    ・現在税理士試験は3科目合格されていますが、全科目合格した場合、独立を考えていますか?
    ・仮に独立する場合、何年後を想定していますか?

    3.うっかり聞かないよう要注意|採用面接で気を付けるべき質問集


    先程、女性向けの質問が「男女雇用機会均等法」に抵触する可能性があるとお伝えしました。 それ以外にも、就職差別につながるような質問につき、採用担当者は特に意識して避ける必要があります。 以下に、主なものをご紹介します。

    3-1.本籍・出生地に関わる質問

    本籍地や両親の出身地、現住所にどのくらい居住しているかなどの質問は、公平な採用選考を妨げるおそれがあります。 また、当人の能力に直接関係する質問とも言い切れないため、不用意に質問するのは避けたいところです。

    3-2.家族・家庭環境に関わる質問

    父母の職業や配偶者の職業・世帯年収・家庭の雰囲気・片親であることなどは、求職者から話が出ない限り、採用する側から質問するのは不適切です。 求職者の能力・適性とは何ら関係のない主観的な質問であり、求職者を刺激することにもつながりかねないため、このような質問も控えましょう。

    3-3.住宅状況に関わる質問

    採用後に交通費を計算する場合を除き、面接の段階で現在求職者が住んでいる場所について細かく尋ねるのは、要らぬ誤解を招くおそれがあります。 また、求職者が所有する不動産・動産に関することも、業務に直接関係しないのなら質問する必要はありません。

    3-4.思想に関わる質問

    信仰している宗教・労働組合に関する見解・支持政党・取っている新聞などは、原則として質問すべきではありません。 愛読書についても、例えば「オススメの本をアピールしてください」などといった、プレゼン能力を知るための質問なら問題ありませんが、内容によっては基本的人権を侵すおそれがあります。 職務を遂行する能力の判断につながらない質問は止めましょう。

    4.まとめ


    中途採用に向けて質問内容を決める場合、万人向けの質問だけでまとめても、なかなか踏み込んだ内容を聞くことはできないため、相手に不快感を与えない範囲で情報を集める必要があります。 そのためには、求職者のパーソナリティに応じ、ダイバーシティに配慮した質問を考えておくことが大切です。キャリア・性別・年齢・資格など、新たに採用しようと考えている職種にふさわしい人材を見つけるためには、よい質問を積み重ねていくことが、ミスマッチのない採用を実現するには不可欠です。 また、踏み込んだ内容を聞きたいからといって、聞くべきでない質問を考えていないかどうか、実際に質問する前に内容を確認しておきましょう。

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