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    リファラル採用 報酬

    新卒採用だけでは人員不足が補えず、急な離職や事業拡大など、さまざまな理由で中途採用を検討している企業が増えています。ハローワーク、合同会社説明会、求人広告、人材紹介仲介、ダイレクトソーシングなど、人材を補うため採用活動やサービスを利用するのが当たり前になってきました。
    そんな中で、近年で耳にするようになった採用方法が「リファラル採用」です。うまく活用することで、新たな人材を確保できるチャンスがつかめます。ここでは「リファラル採用」の方法や注意点をご紹介します。

    1.リファラル採用の報酬は「必ずしも」違法ではない

    「リファラル採用は違法になるのでは?」という話があります。採用のミスマッチ回避、仲介や広告費のコスト削減など、いくつかメリットがありますが違法になる可能性があるため説明します。

    紹介者に対し報酬・紹介料・対価を支払うと違法になる可能性がある

    採用が決まった後、紹介者である社員に報酬を支払うと違法になります。

    「有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。(職業安定法第30条)」と、「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。(職業安定法第40条)」と法律で定められています。

    また、報酬の金額が適性ではないと判断された場合も違法となる可能性があります。つまり、職業紹介をおこなう許可のない者に対し報酬・対価を支払うことは禁止されていますが、紹介した社員に対し適正な賃金・給料という形で支払うならば問題がないということです。

    紹介者に賃金や給料という形で支払うことは違法ではない

    先に述べたように、紹介業の許可を得ていない者に対し報酬を支払うことは禁止されていますが、社員に対し賃金や給料という形で支給することに問題はありません。一般的に社員が業として許可を得ているのはレアなケースだと思いますので、あらかじめ賃金や給料として紹介料を支払うための就業規則や雇用契約を見直す必要があります。

    企業内で規則や契約の見直しをおこなっていれば、紹介料以外にもリファラル採用にかかった交通費や飲食費などの実費を支給することも可能です。

    職業安定法( 昭和22年11月30日法律第141号) - 厚生労働省

    2.リファラル採用の注意点

    リファラル採用の注意点

    実際にリファラル採用を行う際の注意点は、「違法性」を問われないようにすることです。ここでは禁止事項に触れないためのポイントをご紹介します。

    就業規則や賃金規定を整える

    労働基準法では、賃金や給料に関する事項は必ず明示しておかなければならないという決まりがあります(労働基準法第15条)。そのため、リファラル採用に関する報酬を賃金や給料という形で支払うには、あらかじめ支払時期や支給額など支払い条件を就業規則に入れておく必要があります。

    また、常時10名以上の従業員を使用している企業は就業規則を定めたとき、もしくは改定したときに従業員への周知と行政官庁に届出が必要になります(労働基準法第89条)。常時10名未満の場合は就業規則の作成と届出の義務はありませんが、トラブルを未然に防ぐためにも準備をしておくことが望ましいです。

    高額な報酬になっていないか

    リファラル採用に関する報酬が高額な場合、受け取る社員は「業」として人材紹介を行っている者としてみなされ、職業安定法第30条の問題が発生する可能性があります。

    人材の紹介を業として行っている仲介業者の報酬相場が、採用された人材の年収の30%程度と言われています。そのため、業としておこなっていない紹介者(社員)へ支払う金額は採用された人材の年収の30%未満に抑えることが望ましいです。

    労働基準法( 昭和22年04月07日法律第49号) - 厚生労働省


    管理部門・士業の採用はMS-Japan

    3.リファラル採用の平均報酬額

    リファラル採用時にインセンティブとして賃金を支払うことは、社員のモチベーションを上げ、周囲から良い人材を探すための機会も得られる可能性があります。ここではリファラル採用の平均的な報酬をご紹介します。

    平均的な報酬金額は10万円〜15万円

    支払う金額は採用した人材のスキルや経験、業種や職種によって異なり、非正規採用かどうかによっても変動します。非正規で採用された場合は数千円〜数万円程度という場合があります。リファラル採用の平均的な報酬金額は、10万円 〜15万円(28%)、20万円〜30万円(22%)、15万円〜20万円(13%)、50万円以上(11%)という分布になっています(2017年リファラルリクルーティングに関するアンケート調査)。中には報酬制度を導入していない企業もあります。

    報酬は賃金や給与でなくても良い

    平均的な報酬金額は10万円〜15万円ですが、報酬が賃金や給料でなければならないという定めはありません。第1章でも述べたように、リファラル採用にかかった交通費や飲食費などの実費を支給することも可能です。また、休暇を報酬とする企業もあるようです。

    報酬の有無や金額の設定

    報酬の金額は企業側で決めることができます。しかし報酬があれば良いわけではなく、高額すぎる報酬に設定すると、お金目当ての紹介やミスマッチな採用などトラブルになる可能性があります。そのため社内の雰囲気などに応じて報酬の有無や、価格を考慮する必要があります。

    4.リファラル採用の報酬の決め方

    リファラル採用の報酬の決め方

    リファラル採用のインセンティブ報酬の決め方についてご説明します。

    採用ポジションやスキルや経験を考慮する

    採用した人材のスキルや経験、業種や職種などにより報酬を決定する方法があります。例えば、「営業職の人材を紹介すると〇〇円」「○年以上の経験者は〇〇円」などのように、職種・資格・経験年数などで報酬を設定します。報酬を設定する際は、曖昧な表現を避けて明確な数字で表すことで勘違いによるトラブルを防ぐことができます。

    採用期限や勤務期間に応じて設定する

    採用期限や勤務期間に応じて報酬を設定することもあります。採用期限を設ける際は、期限ばかりに気を取られた無理な紹介や採用にならないよう、大きなインセンティブではなく小額報酬にします。
    また、入社後の勤務期間で報酬を設定する場合、紹介した社員のモチベーションを保つために採用が決定した時点で一度報酬を支払うようにします。そこから設定期間の経過で残りを支払います。リファラル採用でも早期離職の可能性がないとは言い切れませんので、すぐに辞めない人材を求めている企業は勤務期間で報酬を決めると良いかもしれません。

    成果(人数)に応じて設定する

    リファラル採用の成果として、集めた人数に応じてインセンティブを支払うという方法があります。例えば、「年間で最も人数を集めた社員に〇〇円」というケースがあります。
    先を見通した長期的な計画になるため、参加した社員にも計画を意識させながら進めることが必要です。計画を意識させるためにも成果に応じて報酬を用意する必要があります。また、リファラル採用が浸透していない企業では、成果と報酬を設定することで意識させる必要もあるかもしれません。

    インセンティブ報酬の見直し

    リファラル採用のインセンティブ報酬は、採用状況に合わせて内容を変更する必要があります。必要な人材が集まり目標が達成できた時点で内容を変更し、新たな採用に向けてインセンティブ報酬の増減を考えます。同じ条件で募集を行うと集まる人材に偏りが生まれ、企業の成長度に合わないデメリットを生んでしまう可能性があります。

    5.まとめ

    ここまでリファラル採用の報酬設定と違法性について説明しました。企業が求める人材を効率よく円滑に集めるためには、社内の雰囲気を考慮したうえでインセンティブ報酬が有効だと言えます。しかし、報酬の扱い方や金額に気をつけなければなりません。初めて取り組む企業は、職業安定法や労働基準法などの法律に触れないように、就業規則や雇用契約を改める必要があります。なかなか人が集まらなくて困っている採用担当者は、紹介したリファラル採用のポイントを押さえて導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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