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就職氷河期の時代、就職活動では会社側が採用の主導権を握っていました。
しかし、少子高齢化・価値観の多様化を迎えた日本では、優秀な人材を見つけるのが難しい時代になってきています。
そこで、会社側も「より効率的かつ確実に採用活動を進めたい」と考え、限られたリソースを有効に使って優秀な人材を確保するためのツールを取り入れるようになりました。その中の一つが「採用管理システム」です。
この記事では、採用管理システムの概要・機能・メリット・選ぶポイントなどをお伝えした上で、おすすめの採用管理システム10選をご紹介します。
1.採用管理システムとは
採用管理システムは、別名ATS(Applicant Tracking System)とも呼ばれ、広い意味では企業の採用活動をサポートするシステム全般を指します。
もう少し掘り下げると、人事担当者が「採用活動を行うにあたり必要な情報を一括管理できるシステム」を意味します。
具体的には、応募者のエントリー・面接・採用までの流れを一元管理して、採用活動そのものを効率化するねらいがあります。
採用管理システムが重要視された一因としては、高齢化による人材不足・欲しい人材とのミスマッチなど、採用の難易度が高まってきている問題があげられます。
求職者がWeb上で求人情報を気軽にチェックできる時代になり、働き方も多様化が進んでいることから、できるだけ素早く採用活動を進められるよう対応しなければ、あっという間に優秀な人材は転職市場を離れてしまうのです。
2.採用管理システムの機能
採用管理システムには、求職者の情報管理だけでなく、今後の採用戦略を立てるための機能・採用担当者の手間を省く機能などが数多く組み込まれています。
以下に、主な機能についてご紹介します。
求職者データの管理
求職者の情報は個人情報にあたるため、できるだけ厳重に取り扱いたいものです。
可能であれば、人事部の中でも個人情報を取り扱える社員を制限したいと考えるでしょう。
採用管理システムを使えば、閲覧者の制限や権限の設定ができますから、例えばExcelで情報を管理するのに比べて安全に情報を管理できます。
集計やデータ分析
採用管理システムを使わない採用手法は、時として採用担当者の経験やカンにもとづいたやり方に終始してしまうリスクがあり、極端な話、担当者の好みで採用が決まってしまうことも珍しくありません。
しかし、採用管理システムを使えば、ビッグデータなど圧倒的な情報量の中から必要な人材像を分析できるため、戦略的に採用を進めたいと考えている会社にとっては便利です。
募集職種ごとの応募進捗管理
一つの企業において、求人案件は必ずしも統一されているわけではなく、部門や職種によってバラバラというケースも珍しくありません。
しかし、採用管理システムを使えば、企業側が求職者に対して公開している募集職種につき、それぞれの応募進捗状況が把握できます。
メールの自動送信
求職者の情報は、刻一刻と状況が変わるにつれて更新されていきます。
書類選考の採用者・一次面接の採用者・最終面接の採用者・内定者と、内定に至るまでの間に何度か求職者を不採用にする場面に遭遇し、その都度人事担当者は不採用通知を丁寧に作成しなければなりませんでした。
採用管理システムには、求職者のステータスに応じて文面を変えたメールを自動送信する機能が備わっているものがあり、この機能を使えば連絡漏れや送信ミスを防げます。
3.採用管理システムを導入するメリット
実際に採用管理システムを導入するなら、機能の種類や数だけを見るのではなく、なぜ採用管理が楽になるのかを理解した上で導入するのが効果的です。
以下に、企業が導入後に得られるメリットについて、主なものをいくつかご紹介します。
採用工数を削減できる
採用業務を人力で行おうとすると、実に多くの採用工数を踏む必要があります。
就職フェアの資料準備に始まり、会社説明会やエントリー管理、適性検査に面接、内定から入社式と、多くの作業を1年単位で進めなければなりません。
しかし、採用業務は「力を入れて取り組む業務」と「比較的誰でもできる業務」の2種類に分けられるため、誰でもできる方をシステムに任せてしまえば、その分浮いた時間を大切な業務に使えます。
情報が「見える化」できる
個人情報の漏洩を防ぐためには、できるだけ管理に携わる社員を減らし、情報を扱う人員を減らすのが効果的です。
しかし、この方法には致命的な欠点があり、選考から内定・フォローに至るまで特定の担当者を介さなければならないのです。
もし、採用管理システムを導入していれば、選考に関係する社員のみが求職者データをシステム内で共有できます。
人事部だけにとどまらず、採用に関係する部署の課長・部長クラスも情報の更新を確認でき、採用担当者にスムーズなフィードバックができますから、効率的に採用活動を進められます。
ミスの防止
Excelなどの表計算ソフトは、効率的に情報を管理できる利点はあるものの、人間が作業している分ミスが生まれやすくなります。
特に、採用に関するメール送信の見落としなどは致命的ですから、できるだけ複数の担当者がダブルチェックできる体制を整えておかなければなりません。
この点についても採用管理システムは優秀で、情報管理状況を社員同士が共有できますし、アラートメール機能を使えばシステム側が進捗を監視してくれます。
4.採用管理システムを選ぶポイント
採用管理システムには、実に多種多様な種類があり、いくつか選ぶ基準を作っておかないと迷ってしまいます。 続いては、採用管理システムを選ぶポイントについて、特に気になるものをいくつかご紹介します。
コスト
採用管理システムを導入すると、確かに工数自体は削減できるはずです。
また、人事部全体の作業効率化にも貢献してくれるでしょう。
しかし、導入時にコストがふくらんでしまうと、かかった費用の回収ができないおそれもあります。
できるだけ、標準機能が自社の事情にマッチしているものを選び、オプションなど追加費用がかからないシステムを選ぶことが大切です。
UI/操作性
どのようなシステムを利用する場合でも、UI(ユーザーインターフェース)・操作性の問題は重要です。
採用管理システムの場合、主な利用者である採用担当者・人事部はもちろん、そのシステムを介して掲載した求人情報を確認する求職者にとっても利用しやすいものでなければなりません。
導入前には、すべてのユーザーにとって使いやすい仕様かどうか、無料トライアルなどを利用して、実際に操作テストしてから導入を検討しましょう。
サービスの種類
システム側が提供できるサービスは、一見同じように見えて、実際には細かい部分でニーズに違いがあります。
例えば、ソーシャルリクルーティングに力を入れているなら、SNSからのデータインポート機能が重要になります。
また、複数の応募媒体を用意しているなら、それぞれとスムーズに連携できる機能が必要になるでしょう。
採用方法の種類によっては、標準機能として用意されておらずコストがかかるケースもあるため、自社の事情に合致したサービスがあるかどうかをチェックしましょう。
5.採用管理システム10選
採用管理システムを選ぶ視点をいくつか理解したところで、実際に多くの企業から人気を得ている採用管理システムをご紹介します。
今回お伝えする10点は、企業の採用活動で必要とされるニーズを一定数満たしているものの、求職者の属性に応じた違いもありますから、自社の事情に合わせて選びましょう。
HERP Hire
業務効率化アプリのSlackやChatworkとの連携が可能で、情報共有が図りやすいシステムとなっています。
シンプルなUIは分かりやすく、無料トライアルも利用可能です。
ココナラ・クラウドワークスなど、不特定多数のフリーランスが集まるクラウドソーシングサイトで採用されているのも、使い勝手のよさを証明するポイントです。
採用一括かんりくん
Web会議ツール「Zoom」と連携し、Web面接に対応できます。 LINEとも連携しているため、人材紹介会社とのやり取りだけでなく、説明会への動員がしやすいシステムです。 ライトプランなら月額2万円から始められますから、まずは安価に導入したい企業におすすめです。
URL:https://www.career-cloud.asia/
エアリーフレッシャーズクラウド
内定者のフォローに強いシステムで、豊富に蓄積されたデータによって、内定を辞退するリスクの高い学生を見つけ出すことができます。 内定者研修はeラーニング講座を利用できるようになっていて、各種手続きの書類もWeb上で期限を設けて回収できます。
ジョブカン採用管理
採用管理システムとしてはバランスの取れた構成となっていて、進捗状況の確認・情報共有に関するスムーズさが評価されています。 採用後は、ジョブカン労務管理を使えば、採用管理で内定を出した人を内定者としてシステム内で連携できます。 候補者の登録者数に応じて月額費用が変わる料金プランとなっており、無料お試しもできます。
HRMOS採用
採用活動のスピード・効率化にこだわるシステムを実現するため、採用に関するすべての情報を一元管理できるようになっています。 また、人材紹介会社別の紹介実績・選考通過率といった数字をスマートにグラフ化できるため、採用活動を戦略化するための情報を構築しやすい点も特徴です。
SONOR
新卒・中途・ダイレクトリクルーティング・エージェントなど、たくさんのチャネルからやって来た応募者を一元管理できるため、多くの人材を定期的に採用する企業におすすめの採用管理システムです。 採用・選考に関する情報や、応募者とのコミュニケーションについても、システム内でまとめて管理できます。
URL:https://www.igniteeye.com/sonar/
Zoho Recruit
企業ごとの細かいカスタマイズができるシステムのため、採用プロセスにおけるさまざまな段階をステータス化できます。 データの共有に関しても、細かく共有範囲を分けられるため、システム内での情報管理を適切に行えます。
URL:https://www.zoho.com/jp/recruit/features.html
i-web
大手就職情報サイトと連携していることから、特に新卒に強いシステムとして知られています。 しかし、実際にはグローバル採用・キャリア採用・内定者フォローなど、実に幅広いソリューションを提供しています。 特に膨大な人数を管理する必要がある企業におすすめです。
URL:https://www.humanage.co.jp/service/i-web/about_iweb/
採用係長
無料から採用ページが作成でき、Web経由で求職者を集めるサービスが充実しています。 こちらはどちらかというと、パート・アルバイトの採用に便利なシステムです。
URL:https://saiyo-kakaricho.com/
JobSuite
中途採用に特化した採用管理システムで、特にスピーディーな選考が求められる場面で効果を発揮します。 選考待ちの求職者の情報が素早く確認できるフォームが構築されているため、合否判定の結果・面接希望日時の決定などがスムーズです。
URL:https://jobsuite.jp/career/merit/merit03.html
6.まとめ
採用管理システムを導入すれば、採用工数の削減や採用情報の共有など、多くの面でメリットがあります。 膨大な求職者の情報を管理することは、マンパワーでは限界があるため、効率的な情報管理のためにはシステムを使った管理が必要です。 事業規模によっては、大掛かりなシステムを導入する必要がなく、わずかな投資で高い効果を発揮することも十分可能です。 逆に、多少お金がかかってもいいから、自社の使いやすいようにカスタマイズして使いたいという場合は、機能が多数あるシステムを選ぶのがよいでしょう。 採用管理システムを選ぶ際にもっとも重要なのは、そのシステムが「自社の課題を解決してくれる」かどうかです。 認識している課題・投資できる額・操作性など、複数の要素から検討して、後悔のないシステム導入を実現しましょう。
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