会計事務所での勤務経験者が希望する転職先とは?
会計事務所に勤務する公認会計士や税理士の中には、今の職場環境に不満を感じていて、転職を目指している人もいます。では、転職先としてどのような方向性がありうるのでしょうか。ここでは代表的な選択肢として「一般企業」と「大手事務所」の2つを検討します。
一般企業の経理へ転職
会計事務所に勤めていると、周りを見回せば公認会計士、あるいは税理士といった会計スキルの高い人々ばかりです。その現実から、自分の存在など「いくらでも替えが効く」と考えてしまう会計士や税理士がいます。
そこで、自分自身の存在価値を確認し、組織の中で経済活動に貢献したいと、一般企業の経理部へ転職を希望する方もいます。
さまざまな企業からの依頼を受けて、経理案件を処理し続ける会計事務所とは異なり、一般企業の経理部では、所属するその一社のために日々の経理を行います。
一般企業の経理に転職する場合のメリット・デメリット
公認会計士や税理士が、一般企業の経理部に勤務するメリットとして、安定的な待遇を得られる点を挙げることができます。給与水準は企業の規模や収益性などによっても異なりますが、福利厚生などは一般企業のほうが充実している場合があります。
また、業務内容も比較的安定しています。依頼を受けて業務を進める会計事務所では、重要クライアントからの思わぬ要求で業務負担が重くなったり、依頼が立て続けに舞い込んできたりと、事務所のコントロールが効かない外部的要因によって繁忙度が増すことがあるのです。
一方で、企業の経理部に所属していれば、どの時期に忙しくなるかは予期できるので、ペース配分をあまり乱されずに仕事を進められるメリットがあります。日々変わらない仕事を粛々と進めるからこそ適性がある会計士や税理士なら、企業勤務の「インハウス」に転身したほうがいいでしょう。
企業勤務の会計士や税理士は珍しいため、スペシャリスト集団である経理部の中でも、一定の敬意や尊重を得られる可能性があります。また、チームワークが重視されるため、部内で助け合いながら仕事を進められる安心感や心強さもあるでしょう。もし、会計事務所勤務で自信を失っていたり、寂しさを感じたりしている方は、転職すると仕事への喜びや情熱を取り戻せる可能性があります。
インハウス転身のデメリットは、メリットの裏返しといえます。
企業勤務の場合、代わり映えのしないルーチンワークが増える場合もありますので、ルーチンワークが苦手な方には向いていないかもしれません。また、周囲の皆と歩調を合わせながら、チームワークで仕事を進めることに面倒くささを感じる人も、インハウス勤務に適性がない可能性があります。
現勤務先の会計事務所よりも条件が良い会計事務所(比較的大手)
現在勤務している会計事務所について、勤務内容のわりに勤務条件に不満があると考えている会計士もいるでしょう。
かといって、一般企業の経理部へ移ることには関心がなければ、もっと条件のいい会計事務所への転職にチャレンジしてみましょう。
日本国内には「EY新日本」「トーマツ」「あずさ」「PwC Japan」といった「4大有限責任監査法人(4大会計事務所)」と呼ばれる、最大手の会計事務所が存在します。
これらの事務所に勤務できれば、会計人材として国内屈指の好待遇を得ることができるでしょう。しかし、「4大」まではいかなくとも、比較的大手の会計事務所に移ることができれば、十分に良好な待遇で迎え入れられる可能性が高いです。
ただし、給与水準が高まるぶん、業務量が多く、今よりも忙しくなることもありえます。転職希望先の評判などを、会計士仲間に尋ねたり、インターネットの口コミなどであらかじめ調査してみたりするのも有効ですが、専門の転職エージェントに問い合わせて確認することも可能です。
比較的大手の会計事務所に転職するためには?
公認会計士がキャリアアップするためには、会計スキルばかりを高めようとしても転職市場ではインパクト不足で、他のライバルの中に埋もれてしまうおそれがあります。
転職に有利になるオプションスキルとして代表的なのは、語学力です。ビジネス上の国際語である英語を習得するのが王道となります。
英語が堪能であれば、海外の会計事情の移り変わりを的確に把握できますし、外資系の監査法人とのコミュニケーションも円滑に進むので、大手会計事務所では重宝されます。
IFRS(国際財務報告基準)の重要性も高まっていますので、英語を自在に操れれば、貴重な会計人材として好待遇で迎え入れられることも期待されます。
並行して、英文会計や国際税務の知識や処理スキルまで身につけていれば、鬼に金棒です。転職市場のライバルよりも一歩も二歩も抜きん出ることができるでしょう。
まとめ
現在勤務している会計事務所に不満を感じていれば、その解決策として最も有効なのは、職場環境を変えるための「転職」に尽きます。一般企業でインハウス会計士として勤務するか、さらにハイレベルな会計事務所を目指すか、ご自身の心が躍りそうな方向に進むことをおすすめします。不安が付きものの転職の道先案内人として、転職専門エージェントの利用も心強くて有効です。
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