採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    70歳を超えても働く人材の増加が話題になる昨今、60歳を超えてもまだまだ現役として活躍している方は大勢いらっしゃいます。元気なシニア層はこれまでのキャリアから豊富な知識と経験を持っており、慢性的な人材不足にあえぐ日本社会の雇用の現場において、優秀な即戦力人材として注目が集まっています。 以下では、シニア人材の活用について取り上げていきます。メリットやデメリット、成功事例も含めてご紹介していきますので今後の参考にしてください。

    1.シニア人材とは


    高齢者雇用安定法などにおいてシニア人材とは60歳~65歳を指していますが、年齢の幅は場面によって上下させてシニア人材であるとしており、転職市場においては厳密な定義がない状況ですが、50代以上の人材を指してシニア人材であるとしてるケースが多いようです。 かつては定年が60歳であるのが一般的でしたが、2013年に改正された高齢者雇用安定法によって、原則として65歳までの雇用確保が義務付けられました。その後は人材不足の慢性化も相まって、65歳を超えても再雇用で就業するのが一般的となり今日に至ります。つまり、転職市場でシニア人材だとされる50代以上の人材であっても、その先10年以上働けるケースも少なくないため、シニア人材は十分に戦力として考えることができます。

    2.シニア活用のメリット・デメリット


    2-1.シニア活用のメリット

    シニア人材を活用することで得られるメリットとしてまず考えられるのが、採用のしやすさです。どの企業も長く自社で活躍していける若い人材の採用を優先しがちであるため倍率が低く、シニア人材にとって選考を受けられる先も限られているので、シニア人材の活用は早急な人材確保のために有効な手段です。また、就業の目的が明確であるため、雇用条件も柔軟な内容としやすいのもメリットです。時短勤務・フレックスタイムなどを取り入れていけば、シニア人材がより働きやすい環境とできるだけでなく、従業員全体にも働きやすい会社であるとの意識付けが行えます。更に見逃せないのが、シニア人材の持っている豊富な経験、知識、技術でしょう。長年のキャリアより培ったこれらのスキルを以て即戦力として活躍してくれる期待もできれば、若手社員の教育係としての役割も期待できます。

    2-2.シニア活用のデメリット

    一方、シニア人材を活用することで生じるデメリットとして挙げられるのが、上手く組織にフィットできるかが頭を悩ませる点です。キャリアを積み重ねてきたため、その人なりの仕事への価値観が形成されており、配属先によっては組織の一員として上手くいかない可能性も考えられます。また、体力的に長時間の労働や力仕事に耐えうるかと一旦点も課題です。しかし、これらのデメリットは人事が適切な対応を図ることにより、十分にカバーできる内容でもあるともいえるでしょう。

    3.シニア人材の活躍フィールド


    3-1.シニア人材が活躍する職種

    シニア人材が活躍するには、体力面での不安をカバーし、その豊富な経験や知識、技術を発揮してもらえる職種へと配置するのがポイントとなります。これらを考えれば、バックオフィス業務への配置はとても適しているといえます。顧客と対峙する職種であれば心身ともにパワーを要される場面は多々ありますが、バックオフィスであればそれらはいくらか軽減されます。加えて、担当業務がこれまで経験してきた内容に沿ったものであれば、プロフェッショナルな仕事を期待できますので、業務の質的な不安もありません。年齢的にマネジメント経験を十分に備えている人材も少なくないため、バックオオフィスを構成するひとつの部署の管理を任せられるケースもあるでしょうし、同様の理由で配属チームのリーダー的役割をメンバーから期待される場合もあるでしょう。

    3-2.シニア人材が活躍するポジション

    シニア人材が活躍できるのはスタッフとしてだけではありません。役員や社外監査役となってもらい、経営陣としてその手腕を活かしてもらう方法もあります。上記のよう、マネジメント経験が豊富な点に加え、シニア人材は自身が就業する目的を明確に持っている場合が多いため、長年の経験をもとに仕事に真摯に向き合ってくれると期待できます。シニア人材のなかには、仕事をすることそのものを目的として就業している人も少なくないため、このような人材が豊富な経験をもとに経営手腕を発揮してくれれば、より一層の企業成長の助力となってくれるでしょう。

    4.シニア人材の活用成功事例


    シニア人材の採用について、いくつか成功事例をご紹介します。

    ①A社(サービス業)

    経理財務本部長が定年退職するのに伴い、後継者の育成が急務でしたが、その教育を担当できるスタッフが自社におらず、向こう数年の即戦力かつ後継者育成係として50代半ばのシニア人材を採用しました。IPO準備企業での様々な経験を活かし、早速活躍してもらっています。本人はお子様が大学を卒業するまではフルタイムで、以降はペースを落としたいという希望を持っており、企業側と利害関係が一致したのも採用決定のポイントでした。

    ②B社(金融業)

    コンプライアンスの強化を図るにあたって、豊富な経験と知識の双方を持ち合わせている人材の採用を考え、シニア人材の活用に踏み切りました。年齢は60歳を超えていましたが、同じ金融業界で法務の経験を十分に積んできており、即戦力として活躍できるだけの能力は色あせていなかったので、採用決定へと至りました。同業界だけに、採用直後からスムーズに期待通りの活躍を見せてくれています。

    ③C社(メーカー)

    海外展開を目指す地方都市のメーカーであり、工場人事について即戦力として対応できる人材を求めていました。そんな折、紹介を受けたのが日系大手企業での経験、外資系企業での経験の双方を持ち、英語にも堪能なシニア人材でした。70歳手前まで働くのが一般的となった今日、年齢的にも能力的にも何の問題もありません。積極的に働きかけた結果、弊社を一流の会社とすることをキャリアの集大成にしようと決意してもらい、以降は期待通りの活躍をしてくれています。

    5.シニア人材活用を成功させるポイント


    5-1.雇用条件は柔軟に検討する

    シニア人材に即戦力として活躍してもらうには、勤務形態、日数、時間などを調整するなど雇用条件について柔軟に対応することが大切です。年齢や健康面、それぞれの属するライフステージにおける価値観などに沿った環境でなければ、シニア人材にとっては働きづらい会社となってしまうため、貴重な即戦力が他へと流れてしまいかねません。採用面接時に、これからの就業についてどのような目的を持っているのか質問するなどして、シニア人材を迎え入れやすい雇用条件の提示を行うようにしましょう。

    5-2.役割を明確化する

    また、役割を明確化させるのも重要です。シニア人材が就業への明確な目的を持っているということは、自分が就業してどのような役割を期待されているのか事前に把握しなければ、最終的な判断ができないままとなってしまうことを意味しています。仮に役割が不明瞭なままで入社したとすれば、その後、価値観に合わないと判断された場合には離職されてしまう可能性も懸念されます。

    5-3.優秀なシニア人材の採用は人材紹介会社を利用する

    シニア人材の持つスキルは応募書類からだけでは読み取れない点が多々あるので、優秀なシニア人材を採用するには人材紹介会社を利用するのがおススメです。この方法であれば、求める人材像に近いシニア人材のみ紹介してもらえるため、スキルを絞った選考が可能となります。人材紹介会社の担当者もそのシニア人材とコミュニケーションを交わしているため、就業の目的も的確に把握しやすく、より自社にフィットできる人材を採用しやすくなります。

    6.まとめ


    60歳を超えてもまだ10年近くは現役でいる方の多い今日、シニア人材はより一層の企業成長を図る上で、意識的に活用していきたい存在といえるのではないでしょうか。長年のキャリアによって培ってきた経験や知識、技術を活かして即戦力として活躍してもらうも良し、若手社員の教育係を担当してもらうも良し、なので、活用方法次第ではとても大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。気をつけなければならないのは、年齢を重ねたことによる健康面へのケア、就労への価値観にマッチした雇用環境の整備ですが、これらを実現させるには本人とのヒアリングを重ねていかなければなりません。円滑なコミュニケーションを交わし、シニア人材の活躍できる環境を整備に取り組んでみてください。

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