採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    経理などの管理部門は、営業などの職種に比べて人数が少ないため、採用する機会は多くありません。ただ、経理は会社にとって重要な業務を担っていますし、人数が少ない分一人のインパクトが大きいため、経理の採用は非常に重要です。そこで今回は、経理を採用するにあたってのポイントをまとめました。求人募集から、面接、年収の決め方まで解説していますので、経理の採用を検討している人事の方は、ぜひ参考にご覧ください。

    1.経理の求人募集のポイント


    1-1.求めるスキル・資格を明確化する

    採用する際、その人物像を明確に描くことで、より自社にマッチする人材の採用が実現しやすくなります。よくある手法として、ペルソナを設定する方法があります。年齢や性別、住んでいる場所や家族構成、学歴や職歴、資格やスキル、仕事への価値観や将来描いているキャリアなどを設定していき、ひとつの人物像を作り上げるペルソナ設定は採用戦略に有用であるとされていますが、それは経理でも同様です。より採用の精度を向上させるためには、資格やスキル面について重視するといいでしょう。経理職は次から次へと押し寄せる業務を淡々とこなしていく、チームの一員としてスムーズに役割をこなしていける力が必須であり、そのようなパフォーマンスを期待できるかどうかは資格やスキルから判断できるためです。

    1-2.若手の経理経験者は転職市場に少ない

    経理の経験者を募集したい場合、ターゲットの年齢を若手に絞ってしまうと、採用に難航する可能性があります。なぜなら、若手の経理経験者は転職市場に少ないためです。もちろん学生時代から経理に関する資格取得に積極的だった人材もいるでしょうが、新卒で入社して経理に配属されるケースは多くなく、他の部署から異動して経理担当になることなども多いため、20代でしっかりと経験を積んでいる人材というのは少ないのです。そのため、もしどうしても若手を採用したいということであれば、未経験者も検討に入れるなど、ターゲットを絞りすぎないことも大切です。ネームバリューのある大企業などの場合はこれに限らないかもしれませんが、ベンチャー・中小企業が経理を採用する場合には、転職市場の状況も知っておくと良いでしょう。

    2.経理の採用面接のポイント


    2-1.経理業務を分かる人がスキルチェックをしよう

    経理職の採用面接を行う場合、経理業務についてよく知っている人物が面接担当者となるようにしましょう。同じ経理職でも、大企業の様に担当業務が細かく区分されている場合と、中小企業の様に広範な業務を担当している場合では、身につくスキルに大きな違いがあります。どちらのタイプであるのか見極めるとともに、その人材が業務にフィットできるかどうか判断するには、自社の経理業務について熟知している人物でなければなりません。経理は会社ごとに処理の仕方が異なる場合も多いため、採用面接時には経理現場からの視点が欠かせません。

    2-2.経理はコミュニケーション力も大切

    また、コミュニケーション力も重視する必要があります。経理という業務の性質上、会社組織に生じるすべての数字を取り扱うため、組織を構成する各部門の担当者とやり取りを繰り返さなくてはなりません。〆日までに提出してもらうデータや資料、〆日後に新たに必要となったそれらを得るには、各部門の担当者に協力を仰がなくてはならず、スムーズなやり取りを繰り返すにはコミュニケーション力が不可欠です。 加えて、経理部内でも円滑なコミュニケーションは必須です。経理部はチームとして会社の経理機能を担っている以上、相互に必要なコミュニケーションを適宜交わしながら業務を進めていかなければなりません。基本的に同じ空間で毎日、仕事をしていくのですから、「仕事がしやすい」と他のメンバーから感じられる人材を採用するためにも、面談時にコミュニケーション力を入念にチェックする必要があります。

    3.経理採用の年収決定のポイント


    経理担当者の採用時に提示する年収の目安を簡単にご紹介していきます。

    3-1.経理スタッフクラスの平均年収

    まず、経理スタッフクラスの平均的な年収については2つに分けて考えます。
    ① 実務経験3年に満たない経理初心者・簿記3級~2級レベルの目安は、年収300万~399万円ほどです。
    ② チームをリードできる実務経験3年以上・簿記2級以上の目安は、年収400万~599万が目安となります。

    3-2.経理管理職クラスの平均年収

    実務経験3年以上、簿記2級以上のレベルにあり、経理財務やIRなどの経験を持っている経理部の部課長クラスの平均的な年収は600万~799万円が目安です。この評価には上場企業での経理経験も含まれています。

    3-3.経理役員クラスの平均年収

    さらにキャリアアップし、経理役員クラスとなった場合の平均的な年収は800万~999万円が相場となります。スキルや経験については、5年以上の経理経験、上場企業での経理経験および決算やIRの業務経験を持つ人材が該当します。企業規模が小さい場合には、経理だけでなく総務も兼任しているケースが多く見られます。

    3-4.有資格者(公認会計士・税理士)の平均年収

    有資格者(公認会計士、税理士)の場合、平均的な年収は1000万円を超えます。経理経験10年以上・公認会計士や税理士の資格取得、上場支援や上場企業での決算業務や監査法人・会計コンサル企業での会計関連業務の経験があることなど、条件面も厳しくなるぶん、財務・リスク管理を担うなど大きな責任を託されるため、年収も高額となっています。

    4.経理の年齢別採用ポイント


    経理担当者を採用する際、年齢別に重視すべきポイントをご紹介していきます。

    4-1.20代の経理を採用するポイント

    まず20代の人材を採用する際には、上でも触れているように転職市場に経理経験者が少ないため、未経験者もターゲットに含めるようにします。年齢的に、教育して戦力とできるようにイメージしながらの採用となりますので、OJTで経理担当者を育て上げていくにあたって必要な要素を重視して選考します。特に、コミュニケーション能力、パソコンの基本的なスキルを備えているかどうか重視しましょう。これらが備わっていれば、入社後の教育がスムーズに進みやすいためです。

    4-2.30代の経理を採用するポイント

    30代の人材は、経験・スキルが人それぞれなのでしっかり見極めることが重要です。即戦力となる経理経験者を採用できる期待も高まりますが、大企業で細分化された狭い範囲の仕事を専門にこなしてきたのか、中小企業で広範な仕事を担当してきたのか、では持っているスキルが大きく異なります。後者であったとしても、会計事務所へ経理業務を外部委託している場合も考えられますので、細かくヒアリングしましょう。 また自社の業務にフィットできるかどうか判断するには、経理の現場を熟知した人物が採用面接を行うといいでしょう。

    4-3.40代・50代の経理を採用するポイント

    40代の経理担当者の採否を考える場合には、マネジメントの経験・素質を重視します。経理はチームとして業務処理にあたっていくため、そのチームを構成するメンバーの中でも年長者となる40代が下の年代のメンバーを引っ張っていく存在となれば、チームとしての生産性向上が期待できます。経理業務だけでなく、そこで集計された情報をもとに財務や経営分析も行ってきた人材であれば、臨機応変な対応もしやすく、自社の経理機能をより高めてくれる点も期待できるでしょう。

    これらについては40代だけに限らず、50代においても同様です。経理チームの年長者、経理業務についての広く深い知識を備えている人物を求めるとなれば、50代の人材もターゲットとしながら選考していけば、より求める人物像に近い人材を採用しやすくなります。60歳を超えても現役として働くのが一般的なものとなっている今日、50代の人材はまだ十分に中期的な即戦力として考えられます。

    5.まとめ


    経理担当者を採用する際、応募者それぞれがどのようなスキルを持っているのか正確に把握するのは決して簡単ではありません。資格を持っていたとしても、実務経験が伴っていなければ即戦力とはいえず、応募書類に記載されている事項からだけでは読み取れない点が多いためです。 その結果、採用までに多くの時間を費やしてしまい、振り返ってみれば採用コストが予想以上にかかっていたとならないよう、注意して採用活動に取り組む必要があります。スキルを正確に把握し、しっかりと自社にフィットできる人材をスピーディーに採用したい場合には、転職エージェントを利用するのがおススメです。採用コストの抑制、理想像に近い人材の確保の2点が実現しやすくなります。

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    【参照】
    人材サービス産業協議会「転職賃金相場2018」