採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    採用の歩留まり率という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。自社の採用活動をスムーズに行うためにも各段階における歩留まり率をみることは、採用活動を改善するうえで重要な指標です。今回は、採用の歩留まり率と改善のポイントなどについてご紹介します。

    採用の歩留まり率とは

    歩留まりとは、製造業界で使われる言葉で、投入した原料や素材の量に対して、実際に得られた生産数量の割合を意味します。採用においては、応募から選考の各段階、内定、入社までの全ての過程で歩留まり率を計算します。

    例えば、
    「入社した人数(3人)」÷「内定を出した人数(10人)」×100=歩留まり率(30%)
    となります。この場合、入社の歩留まり率は30%です。

    数値にして出してみると、自社の採用力を判断しやすくなります。こちらはあくまで例ですが、自社の状況を詳しく分析する手段となるので便利です。それぞれの段階で歩留まり率を出すことで、自社の課題が明確化しやすくなります。なお、歩留まり率を出すためには、応募者数などを数字で把握しておくことが必要です。

    採用の歩留まり項目

    以下、採用歩留まり項目です。


    上記は中途採用の場合の主な項目です。新卒採用の場合は、説明会や三次面接などが項目として挙げられることもあります。それぞれの段階で歩留まり率を計算し、把握します。 詳しくみていきましょう。

    応募者数

    求人サイトなどを利用している場合は、閲覧数などでも歩留まり率を計算することがあります。応募した人の中からどのくらいの人が書類選考に進んだかなどをみます。

    書類選考数

    書類選考を実施した数、通過した数などを把握することで、歩留まり率の計算ができます。

    一次面接

    一次面接とありますが、実際は面接を実施した回分歩留まり率を求めます。

    二次面接

    二次面接が最終面接であればこちらで、もし三次面接などを実施する場合は、その時も歩留まり率を求めてみましょう。

    内定出し

    内定を出した人の数でも歩留まり率を計算します。

    内定承諾

    内定を出した人のうち承諾した人は何人かによって歩留まり率が変わります。

    入社

    内定承諾者のうち実際に入社した人は何人かで歩留まり率を求めることができます。

    こちらで紹介したものは例なので、自社の状況に合わせて柔軟に対応してみてください。

    歩留まりが起こりやすいタイミング

    歩留まり率が低下しやすいタイミングとしては以下が挙げられます。

    エントリーから会社説明会

    会社説明があるのは新卒採用の段階だけかもしれませんが、エントリーしてから会社説明会の段階で、歩留まり率の低下がみられることがあります。特にエントリーから会社説明会まで日数がかかると低下しやすいです。応募者の興味関心の低下を防ぐためにも、会社説明会はなるべくエントリーから日をおかずにすることがポイントと言えます。

    書類選考から一次面接

    書類選考を通過してから一次面接までの間に歩留まり率が低下する場合があります。特に応募者の自社への志望度が低かった場合、応募者は書類選考を通過し面接までの間に「本当にこの会社を受けるか」を一旦考えやすいです。一次面接に進みたいと思ってもらえるような工夫が必要でしょう。

    面接設定から面接

    実際に面接に来てもらう段階です。ここでも歩留まり率の低下がよく起こります。来社することは、応募者にとって少なからず心理的負担があることなどが原因として考えられます。近年ではオンライン面接を実施する企業も増えていきました。応募者の心理的不安を和らげるために、オンライン面接を実施する方法も有効でしょう。その場合は、オンライン面接がスムーズに進められるように、企業側からポイントをアナウンスしておくことが効果的です。

    内定だしから内定承諾

    内定を出してから内定承諾までの段階も歩留まり率が低下する場面です。面接を通じて企業のことを詳しく聞いた応募者が、働くイメージが湧かなかったことなどが原因として挙げられます。また、意外と少なくないのが面接官の態度で断りをいれるケースです。面接官が応募者を見定めているのに対し、応募者も企業側を見定めています。面接官の態度がそのまま企業の印象につながるので、注意しましょう。

    内定承諾から入社

    優秀な人材ほど複数の企業から内定をもらっている可能性が高いです。内定承諾の段階で明確な労働条件などをしっかりと提示して、この会社で働きたいという意思を持ってもらえるかどうかが対策の一つのポイントとなります。

    中途採用の歩留まり改善ポイント


    改善のためのポイントをまとめました。

    選考スケジュール・選考フロー

    選考スケジュールや選考フローを工夫し、なるべくスピーディーに対応すると、会社の印象がよくなります。特に返信は早めに出すことが大切です。対応がスピーディーだと応募者から「仕事ができる企業である」という評価されやすいです。中途採用であれば、書類選考の合否は1日以内に伝え、2〜3週間以内には選考が終わるようにスケジュールを組むと良いでしょう。

    また、応募人数そのものが少なければ選考フローを短縮化するなど柔軟に対応できることが望ましいです。採用担当者が多忙な場合は、採用代行サービスを活用するなど、工夫ができると歩留まり率低下の改善に役立ちます。

    面接

    面接は選考の場であると同時に、応募者が会社を見定める場です。会社の雰囲気や魅力を伝えられるように意識することがオススメです。例えば顔写真をみせる、カジュアル面談にする、志望動機の免除など工夫のしがいがあります。 応募者の来社へのハードルを下げるならカジュアル面談やオンライン面談の導入が効果的です。志望動機などが不要であれば、ざっくばらんな雰囲気で自社の魅力を伝えることができるようになり、応募者のモチベーションが向上しやすくなります。次の選考にむけて前向きに検討してもらえる可能性も高いです。オンライン面談を実施すると、地方や海外に在住の人の面接への負担が減ります。これまで採用できなかった地方の優秀な人材などの採用につながるケースもありますので、導入を検討してみると良いでしょう。

    面接官は見られていることを忘れずに会社の顔としてふるまうことが大事と言えます。面接官の印象が歩留まり率に影響することを忘れないようにしましょう。応募者が一緒に働きたいと思えるような人物が面接を担当していると好印象です。あえて候補者と年の近い人を面接官に選び、コミュニケーションが活性化しやすい状態にする手法もあります。

    なお、候補者への対応をしっかりと行うと安心感を与えることができます。面接の1〜2日前にリマインド連絡をし、結果は3日以内に伝えるなど、丁寧な対応を心がけると良いでしょう。交通費の支給などもあると望ましいです。

    まとめ

    採用歩留まり率を求めたとしても、全ての数値を改善していく必要があるとは限りません。自社の問題点を明確化して、改善が必要なところから対処していくことが肝心です。自社の置かれた状況、各数値、それぞれの段階を通過した人の質などを考慮して、自社の課題はどこにあるのかを冷静に分析しましょう。課題が明らかになることによって対応策が見え、歩留まり率の改善に向けて動けるようになります。課題を解消すれば自社の採用力の向上が期待できますので、取り組んでみることがオススメです。

    なお、人手不足などの課題がある場合は、採用管理システムや採用代行サービスの利用を検討することも視野に入れると良いでしょう。便利なツールやサービスを活用することもまた、自社の採用力向上につながる場合があります。ただし、自社に合わないものを使ってしまうと、逆効果になってしまう可能性があるので注意が必要です。自社の状況を鑑みて、とるべき有効な選択肢を選んでいきましょう。